処女作のタイトルは『フィンブルの冬※』です。名前の通り冬を舞台にしたお話しです(厳密に言うと冬以外の暖かい季節がやって来ない舞台)。なぜ冬が舞台かというと、書き始めたのが、2014年の12月、ちょうど真冬だったからです(笑)
ざっくりどういう物語か説明すると、
和輝と瑠璃香という二人の大学生が夏休みに、この物語に出てくる近未来の空飛ぶ自動車――スカイホイールに乗って旅行していたが(飛行機の免許も何も持っていない大学生がそんな代物を操縦できるのか?というツッコミは置いておいて(^^;))、途中で操縦ミスが起こり、パラシュートで落下して何とか難を逃れた。しかし、落下した場所は凍えるように寒い山奥の道路の上だった。案の定、スカイホイールは近くのダムに落下して残骸となっていて、二人は日本に戻る手段を失ってしまう。スカイホイールが落下したダムの管理所を訪ねたところ、見知らぬ老人に迎えられた。和輝は、この土地の事やそこで起ころうとしている事について老人から教わり驚愕し、後に今回の落下事故に関わる重大な事実を瑠璃香から告げられる。間もなく太陽のほとんど届かない第二極小期に突入しようとしているこの土地で、寒さを凌ぐためのシェルター作りに必要な幻の石――オレイカルコスを見つけて来て欲しいと老人に頼まれる。一台のスカイホイールを与えるという老人からの交換条件を飲んで、元の世界に帰るため、和輝と瑠璃香はオレイカルコス探しの旅に出ることになる。
といった感じです。
世界観は、アニメ『時をかける少女』や国民的RPGのドラゴンクエスト、水道局に勤めていた頃に外回りで山奥のダムに行く途中で見た景色、社会人一年目二十三歳の時に有休を取って一週間滞在した、ニュージーランドの都会オークランドで見た広い芝生の公園――といった自分の中で印象に残っている記憶にインスパイアされています。また、理系の四年制大学で培ったサイエンスの知識も生かしたいと思い、一つ一つの出来事に科学的な裏付けをしています。
影響を受けたものが多い分、ファンタジーの世界に妙に現実的な物が出てきたりと、設定も少しちぐはぐなところがあるかもしれません。ですが、和輝と瑠璃香の会話のテンポが良く、魔物の討伐や宝探しに終わらない今の私たちの世界にも通じるテーマを含んでいるので、そこは味わいがあると思ってます(^-^)
※フィンブルの冬
フィンブルの冬(古ノルド語: Fimbulvetr、英語: Fimbulwinter)は、北欧神話における世界の終わりである「ラグナロク」 が差し迫った、その前兆となる出来事のこと。スウェーデン・デンマーク・ノルウェーや他の北欧の国では、fimbulvinter という語は口語で時々、異常に寒く厳しい冬を言い表すのに使われている。この神話が、紀元前650年頃、北欧青銅器時代の終わりに北欧地域を襲った気候変動に関連を持つかどうか、いくつかの推測がある。この気候変動の前の北欧地域は、今よりもかなり暖かかった。