novelist-kentoの小説活動

仕事のかたわら、主に社会派SFの長編や日常ものの短編小説を書いているアラフォーの男です(^_^) このブログでは、自身の書いた小説だけでなく印象的だった作品のご紹介と、読者様、または実際に執筆をされておられる方が楽しめる・タメになる記事を発信できたらと思っています_(._.)_

思わず3回読み返した青春SF作品

 今回は、小説を書き始めるきっかけとなった作品でもある「時をかける少女」の原作を読んだ感想を述べさせて頂きます(^0_0^)
 まず僕は、小説を「読むのが遅い」+「読解力が未熟」という2つの負の要素から、一回読んだら息切れしてそれっきりというパターンがほとんどです(特にハードSFやサスペンス。すごく好きなジャンルなのに(:_;))。ただ、この「時をかける少女」については3回読み返しました。長さがおそらく原稿用紙150枚程度の中編ということもあり読了時間が短く、SFなんだけど難解な専門用語や造語が出てこない。何よりひらがなが多くて読み易い←これ重要w。それなのにリアリティがあって不思議な魅力を持った作品に仕上がっています。
 物語の導入は、
 主人公は中学三年生の女の子、芳山和子。同級生の深町一夫と浅倉吾朗と一緒に理科教室の掃除をしていて、実験室にゴミを捨てに行ったところ、割れた試験管の中の液体の甘い香りを嗅いで意識を失ってしまう。その日から四日間、和子は超能力を得てしまったことにより、奇妙な体験に巻き込まれていく。
 といった感じです。
 この和子と一夫、吾朗の3人の掛け合いがまず面白い。ぼんやりとしているけど理知的な一夫と、努力家だけどあたふたしやすい吾朗。何より、自分だけが時空を移動したことにヒステリックを起こしオーバーリアクション気味の和子(当の本人は本当に気が気ではないのだが(^^;))が可愛い。
 テレポーテーション(身体移動)やタイム・リープ(時間跳躍)といった、今の時代(2019年現在)では、手垢のついてしまった能力が登場するのだけれど、ストーリー展開はユニーク。和子の驚きや葛藤、そしてときめきが、幼い中学生三年生の女の子の言葉で素直に描写され、話の展開にも無駄がなく最後まで一気に読ませます。ラストでは、和子が超能力を得た意外な理由が明らかに――切なくて甘い読後感に浸れることでしょう。
 原作も1990年代に書かれたものなのかと思いきや、昭和51年(1976年)に初版が発刊されたと知ってびっくり(゚д゚)! 作品の世界も当時の日本と思われますが、本当に面白い作品というのはいつまでも色褪せないですね。


アニメは見たことはあるけど…という方も、小説ならではの展開やレトロな雰囲気を楽しめると思います。Amazonで文庫本、kindle本が販売されています↓

https://www.amazon.co.jp/時をかける少女-角川文庫-筒井-康隆-ebook/dp/B009GPM8OQ

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筒井康隆さんの作品は他にも「旅のラゴス」もオススメです。

https://www.amazon.co.jp/旅のラゴス-新潮文庫-筒井-康隆/dp/4101171319


タイトル通り、異世界の心躍る旅にあなたをいざなうでしょう☆

処女作の舞台は鮮やかな銀世界

 処女作のタイトルは『フィンブルの冬※』です。名前の通り冬を舞台にしたお話しです(厳密に言うと冬以外の暖かい季節がやって来ない舞台)。なぜ冬が舞台かというと、書き始めたのが、2014年の12月、ちょうど真冬だったからです(笑)
ざっくりどういう物語か説明すると、
 和輝と瑠璃香という二人の大学生が夏休みに、この物語に出てくる近未来の空飛ぶ自動車――スカイホイールに乗って旅行していたが(飛行機の免許も何も持っていない大学生がそんな代物を操縦できるのか?というツッコミは置いておいて(^^;))、途中で操縦ミスが起こり、パラシュートで落下して何とか難を逃れた。しかし、落下した場所は凍えるように寒い山奥の道路の上だった。案の定、スカイホイールは近くのダムに落下して残骸となっていて、二人は日本に戻る手段を失ってしまう。スカイホイールが落下したダムの管理所を訪ねたところ、見知らぬ老人に迎えられた。和輝は、この土地の事やそこで起ころうとしている事について老人から教わり驚愕し、後に今回の落下事故に関わる重大な事実を瑠璃香から告げられる。間もなく太陽のほとんど届かない第二極小期に突入しようとしているこの土地で、寒さを凌ぐためのシェルター作りに必要な幻の石――オレイカルコスを見つけて来て欲しいと老人に頼まれる。一台のスカイホイールを与えるという老人からの交換条件を飲んで、元の世界に帰るため、和輝と瑠璃香はオレイカルコス探しの旅に出ることになる。
といった感じです。
 世界観は、アニメ『時をかける少女』や国民的RPGドラゴンクエスト、水道局に勤めていた頃に外回りで山奥のダムに行く途中で見た景色、社会人一年目二十三歳の時に有休を取って一週間滞在した、ニュージーランドの都会オークランドで見た広い芝生の公園――といった自分の中で印象に残っている記憶にインスパイアされています。また、理系の四年制大学で培ったサイエンスの知識も生かしたいと思い、一つ一つの出来事に科学的な裏付けをしています。
 影響を受けたものが多い分、ファンタジーの世界に妙に現実的な物が出てきたりと、設定も少しちぐはぐなところがあるかもしれません。ですが、和輝と瑠璃香の会話のテンポが良く、魔物の討伐や宝探しに終わらない今の私たちの世界にも通じるテーマを含んでいるので、そこは味わいがあると思ってます(^-^)


※フィンブルの冬
 フィンブルの冬(古ノルド語: Fimbulvetr、英語: Fimbulwinter)は、北欧神話における世界の終わりである「ラグナロク」 が差し迫った、その前兆となる出来事のこと。スウェーデンデンマークノルウェーや他の北欧の国では、fimbulvinter という語は口語で時々、異常に寒く厳しい冬を言い表すのに使われている。この神話が、紀元前650年頃、北欧青銅器時代の終わりに北欧地域を襲った気候変動に関連を持つかどうか、いくつかの推測がある。この気候変動の前の北欧地域は、今よりもかなり暖かかった。

自分には何が書けるのか

自分が書けるジャンルは何かと考えた時に、自身の内面を掘り下げたような純文学は書けないし、書いたとしてもおそらく暗いものになるだろうということで止めました。色々考えていると、一つ前の記事で出した『時をかける少女』と『ドラゴンクエスト4』からインスピレーションを受けて、「時空を超えた冒険ものなんてどうだろう」とぼんやり思いました。SFの要素はありつつ実社会に即したリアルなものが書きたいと思い、環境問題、戦争と平和人工知能と人間、といった三本柱で書こうと決めました。何となく、シリーズものにしたいと思い、三話とも同一の人物が登場することにして、テーマ的に大学生くらいの年齢が主人公だとしっくり来るということで、大学生が登場する社会派SFシリーズの物語を書くことに決めました。

なぜ小説を書こうと思ったのか

小説を書き始めた経緯といいますか動機は、大学を卒業後に就職してから5年目にメンタルの病気にかかり仕事を休んでしまった時期がありました。初期の頃は気分が落ち込み、テレビを見てもその内容が全く頭に入ってこない状態でした。その時は、家から出る元気もなかったので、自分の部屋で小説や専門書などの本を読んでいました。読んだ小説や専門書についてはExcelなどで気付きや感想などを残したりしました。少しずつ元気になってくると、父親が録画していた昔の映画やアニメ『時をかける少女』を見たりして過ごしていました。そのうち、高校2年生以来全くやってなかったゲームが無性にやりたくなってプレイステーション版の『ドラゴンクエスト4』をやったりもしました。色んな本や映画、アニメ、ゲームを読んだり、観たり、プレイしたりして、改めて『物語』って素敵だなと思いました。自分もできるなら誰かを感動させるような物語を書きたいと思いました。ちょうどその頃、病院で知り合い仲良くなったN君が「最近、小説家を気取って小説を書いている」と聞いて、自分も何か試しに書いてみようと思いパソコンに向かいました。